外国人の介護士より日本の福祉の賃金を改善するほうが先では?

外国人の介護士

2012年02月04日(土)

毎日新聞に『介護を「開国」せよ!』という鳥越俊太郎さんの寄稿が掲載されていましたので、まずは全文転載させて頂きます。

私ごとで恐縮ですが、私の母は91歳。転倒、骨折、入院を繰り返すうちに見当識障害、意識障害などが表面化し認知症にも移行しました。加えて最近、上行結腸部にがんが見つかり、手術という話が現在進行中です。幸い近くに妹夫婦が住んでおり、ある程度の介護は可能ですが、施設入所中の母はやはり専門の介護関係者のお世話にならなければなりません。

私自身も来月72歳、いつ介護を必要とするか分からない、そんな水域に入ってきたなあという自覚があります。そういう心境の折、朝日新聞1月30日付夕刊にこんな見出しを発見しました。<高齢者4割 現役5割 50年後推計 高齢化率 世界で突出>

これは厚生労働省関連の研究所が公表した将来推計人口の数字です。高齢者が増え現役世代が相対的に減少するということは、極論すれば、今後の日本では介護という仕事は減るということは絶対にありません。日本社会を支え維持していくうえで、介護という仕事(職業)は重要な課題となっていくはずです。しかし、厚労省は右手でそんな数字を公表しながら、左手でやっている介護に関する“ある事柄”は全く矛盾の極みと言ってもいいでしょう。私は正直なところ「怒り」さえ覚えます。日本の中央官庁の官僚(役人)には血の通った人間はいないのか、と。

先月29日、介護福祉士の国家試験が行われ、インドネシアとフィリピンの外国人95人が受験しました。この試験は日本人でも合格率が50%という超難関。受験資格は3年以上の実務経験が必要ですが、外国人の滞在は4年と決められているため、受験、つまりチャンスは1回だけです。両国との協定(EPA)で合わせて749人が介護士になるため来日していますが、試験に不合格なら日本退去の運命です。日本の若者だけでは介護の世界は支えられないのが現実です。官僚サン、考え直してください。

91歳の母親の介護をとおして、介護福祉士の問題点を書かれていて興味深いのですが、現実をご存知ないのかと、ちょっと気になりました。高齢化率が高くなり若者が減少している・・・というこの現象だけを見れば、確かに外国の方達にさらなるチャンスを与え、たくさんの方達が介護福祉士となって日本で働いてくれるようになれば、一定の問題解決にはなるかもしれません。

でも・・・鳥越さんは、日本でなぜ介護職につこうとする若者がいないのかということについてはたぶんご存知ないのだと思います。福祉の仕事では生活が成り立たないのです。求人広告のチラシを見てみると薬剤師が2,500円、その下に介護士の時給800円の文字が並んでいます。パートだから安い?違うんですね、正社員でも年収200万円台という介護士がたくさんいます。これでは志高く、福祉の仕事につきたいと思っても断念せざるをえません。

日本はなぜ外国人に資格を与えようとしているのでしょう。それは、安い賃金で働いてもらえるから・・・でもあるのです。海外から安い賃金で働く労働力をどんどん流入すれば、結果的に日本人の介護職者の就職を脅かし、労働条件の悪化にもつながります。介護の仕事につく若者を増やすためには、まず賃金の改善が必要であり、日本人の働き手が日本の福祉の現場で仕事をできる環境を整えることが、なによりも優先されるべきだと私は思います。


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