親の介護は子供の義務なのか、犠牲なのか?

認知症と夫婦愛

2013年12月02日(月)

家族が認知症になったらどうしましょう。ほんとうにしっかりした人だと思っていた母親が、ある日を境になんとなく混乱した様子を見せ始め、周囲のことがよくわからなくなってしまう。そうなった時の家族の反応は様々で、戸惑や苛立ちを隠せない家族、愛情で包んであげようとする家族、人任せにして知らんぷりしようとする家族など、百の家族があれば百の反応があります。どの家族にもその家族なりの歴史があり、それが今につながっていることが多いので、外からああだこうだと言うことはできません。

T子さんは82歳、ご主人は85歳。T子さん、10年ほど前から認知の症状が見えていたのですが、最近とみにその症状がひどくなり、今では夫の顔もわからなくなっていますし、自分がどこにいるのかもわかりません。ここにきて排泄物を手でコネコネしてしまったり、壁に塗りつけたりするようにもなってしまいました。誰が見ても認知症とわかる症状なのですが、夫は「T子は認知症なんかじゃない」と言い張り、自宅で一生懸命面倒をみようとしています。子供3人はそれぞれ家庭を持って遠くに住んでいますので、介護は夫が一手に引き受けているのですが、高齢でもありもう限界です。見るに見かねてケアマネージャーさんが施設入所を勧めているのですが夫は断固拒否しています。

この美しい夫婦愛はどこまで続くのでしょう。実はT子さん、昔はさぞ美人でかわいかっただろうなあという方。夫は妻のことが好きで好きで今なお愛し続けているのです。だからどうしても離れることができないし、離したくないのです。本当にうらやましい夫婦愛ですが、ケアマネージャーさんにとって、この夫の愛はちょっと厄介なものになってしまっています。妻にとって必要と思われる介護ができないでいるのです。住み慣れた家で最後まで過ごす、そのためにどうするかを考えるのがケアマネージャーの仕事だということは重々承知しているものの、T子さんの場合、夫が一人で家で介護していればいつか限界がきてしまいます。共倒れにならない前になんとかしたい・・・ケアマネージャーさんはそんな思いを胸に奮闘しています。


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