母の介護をめぐる姉との確執

姉との確執

2011年06月01日(水)

母の介護をめぐっての姉との確執は、母が亡くなるまで続きました。母と姉は一卵性双生児を思わせるほど性格がよく似ていて、いつもべったりしている関係でした。母も私より姉のほうがずっと話しやすかったように思います。ひねくれた言い方をすれば、母は、私よりも姉のほうが可愛いかったに違いありません。母は両親を早くに亡くしたため、親戚の家で育ちました。そのせいでしょうか、家庭というものがどういうものか、母親というものがどういう役割を担えばよいのか、あまりよくわかっていなかったように思います。

掃除も洗濯も料理も、家事という家事は手を抜きませんでしたし、お菓子も手作り、洋服も手作りというほど家庭や子供を大切にしていたのですが、それだけで幸せを感じていられるのは子供の時だけなのです。成長するに従い、子供の抱える悩みごとに向き合おうとしない母に、アドヴァイスというもののできない母に幻滅してゆきました。特に私は母の感情の起伏の激しさに辟易し、次第に自分の本当の気持ちを母に伝えることを避けるようになっていったのです。姉の性格も母に似ていましたから、母と姉に挟まれた私は、家にいることさえ苦痛になっていました。

母と暮らすようになっても、その時に閉ざした心を開くことがどうしてもできませんでした。母と二人だけになると何も話すことがないのです。話したいという気持ちになりませんでした。母は、心が通じあう姉と最後まで暮らすほうが幸せだったと思います。私はどこか冷めていたのです。心の底から暖かく母に接することができなかったのです。そんな私の気持ちを感じとっていたのでしょう、ある日私の手を取って「あら、なんて冷たい手!あなたは心が冷たいからよ」と母が私に言いました。介護にせいいっぱい尽くしているつもりだった私でしたが、しっかり心を読み取られていたのです。

母を引き取ってからというもの、あれほど母思いに見えていた姉からの連絡は、よほどの用事でもないかぎりくることはありませんでした。かねてからあった姉に対する確執は、母の介護を通してますます強固なものになってしまいました。


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