高齢の夫婦の間での老々介護

老々介護のご夫婦

2011年06月07日(火)

介護というと子供が高齢の親を介護するというケースばかりが思い浮かびますが、最近は老々介護がずいぶん増えてきました。老夫妻のどちらかが認知症なりなんらかの障害で体の自由が利かなくなり、パートナーが老いた体にムチ打って介護をしなければならなくなるというケースです。

私は、施設長とお付き合いのある特別養護老人施設でお祭りや運動会がある時にはボランティアとして参加しているのですが、そこで必ずお目にかかるご夫婦がいます。お若い頃は相当美しかったに違いない奥様と、いまだにダンディぶりを発揮しているご主人。お似合いのご夫婦です。奥様は車椅子からいっさい立ち上がることができずに寝たきりの生活、さらに重度の認知症が認められ、自宅介護はとても無理な状況にあります。そのため施設に入居されているのですが、ご主人は毎日欠かさずお昼時、施設を訪れては奥様の食事を介助して帰られるのだそうです。催事の時には奥様の傍にぴったりと寄り添い、ホームの職員の手を一切煩わせることなく、実にかいがいしく面倒を看ています。

ご主人の話によれば、ずっと苦労をかけ続けだった生活がようやく落ち着き、これから海外旅行にでも行って余生を楽しもうと話していた矢先に奥様が認知症になってしまわれたのだとか。どこを眺めるでもなくただ視線を泳がせている奥様の頭を撫でながら「苦労したんだよな。でも幸せだったよね。」と話しかけるその姿。「この人が望むことならなんでもしてあげたい」とおっしゃるご主人。心身ともに過酷な老々介護を厭うことなくこうして続けていられるのは、ひとえに妻への深い愛情ゆえなのでしょう。


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