車椅子から立ち上がった

車椅子から立ち上がって歩いた

2011年11月11日(金)

社会福祉援助技術現場実習簿からです。毎日このことばかり書いているようですが、改めて読み直すと、思うところが山のようにあるのです。母のことと重ね合わせてしばらく書いてみたいと思っています。

施設ではいろいろな行事が行われます。新年会、お花見、花火大会、運動会、クリスマス会、そして誕生会。利用者のみなさんはうした行事を楽しみにされています。ある日の実習簿にはクリスマス会のことが書かれていました。もう10年以上前の話なので、詳しいことは忘れてしまいましたが、クリスマス会での楽器演奏のお話です。楽器演奏といってもタンバリンを叩いたり、マラカスを振ったりといった程度のものですが、それぞれの班に分かれて舞台にあがって演奏をするのです。

「利用者のFさんはトーンチャイムの演奏をとても上手にされていた。演奏が終わり、台上から車椅子を降ろそうとすると、突然Fさんが車椅子から立ち上がり『やったよね、やったよね』と私に抱きついてきて、涙をこぼしながら同意を求めるのだった。突然のことだったので戸惑ったが、それ以上に驚いたのが、せいぜい車椅子につかまって歩くことしかできないはずのFさんが自力で立ち上がり、2、3歩歩いて私に抱きついてこられたことだった。
達成感がFさんのエネルギーになったのだろう。合奏団員の一人としての責任を果たせたこと、それが、なによりも嬉しかったのだと思う。自分の存在を肯定できる場の提供、それもまた施設の果たすべき役割なのだということを実感した。」

車椅子から立ち上がって歩いたことを記憶していないのですが、必要とされたこと、それがFさんにとっては大変な喜びだったのだと思います。無表情な要介護者に笑顔が蘇る・・・それは介護をする人たちの気持ち次第なのかもしれません。私が母の介護をしていた時には、次第に笑顔を忘れてしまっていったように思いますが、無理をしてでも、口角をちょっぴり上げて暮らしていれば、少しはお互いの気持ちも穏やかになっていたかもわかりません。


QLOOK ANALYTICS