母に孝行できなかった娘

母の心、娘知らず

2011年12月09日(金)

母は、介護が必要になってから新聞もテレビをすっかり見なくなってしまいました。周囲のできごとに興味を失っていたようです。でも、もしかするとそうじゃなかったのかも・・・。元気に生活をしている人、楽しそうに暮らしている人たち、そういう人たちの生活を見たくなかったのかもしれません。体の自由がきかなくなり、希望を失い、夢を見ることさえできなくなってしまった自分に苛立ちを覚えていたのかもしれません。最近になって、母の様子を思い出してはそんなことを思っています。

母は私に心を開いてくれていなかったんだと思います。プライドが人一倍高い人でしたから、娘といえども弱みを見せることはしたくなかたのでしょう。でもそれって、母にとっても娘にとっても、さびしいことですよね。一度だけ、母の部屋に入るなり母が泣き出したことがありました。私はどう言葉をかけてよいのかわからず、「安心していいのよ、ここで安心して暮らしていればいいのよ」と母の肩を抱いてそう言ったのですが、あの時の母は何を悲しんでいたのか、ほんとうのところはわからずにいたのです。

父との生活を思い出していたのか、私に預けたきり、滅多に来なくなってしまった姉の気持ちを悲しんでいたのか、デイサービスやショートステイを理由に、しばしば施設に預けられてしまう自分が哀れになっていたのか、それとも死の不安に苛まれていたのか。どれひとつとして、私は母に安心できる言葉かけをしてあげることができませんでした。ふがいない娘だったなあ。今生きていてくれれば・・・と思うのですが、ほんと「孝行のしたい時には親はなし」を地でいってるなあと思います。


QLOOK ANALYTICS