デイサービスを利用したくない高齢者と利用させたい家族

デイサービス利用は誰のため?

2014年03月30日(日)

M子さんは93歳。とてもお元気で、週一回、近くの公民館でやっている社交ダンスのサークルにはまっています。足取りは90歳代なりですが、ご本人は結構かっこよく踊れると思っているようで、ジルバを踊った、タンゴを踊ったと自慢げに話して聞かせてくれます。家事は昔ほどはできなくなっていますが、それでもご飯を炊いたり、お味噌汁を作るぐらいのことはできるので、おかずを近くのコンビニで買ってきて、それをちょっと暖めて食べれば結構バランスのとれた食事を一人で摂ることもできます。お風呂も排泄も問題ありませんから、在宅での生活は特に問題ありません。

でも、ご家族はM子さんをデイサービスに行かせたくて仕方がありません。介護保険を申請したところ「要支援1」の認定結果がおりました。93歳という年齢を考えれば、同じことを話したり、薬の管理ができなかったり、足腰が弱っているのは当然といえば当然のこと。それなりに妥当な結果だと思います。ご家族の強い希望がありましたので、週1回のデイサービスを利用することとなりました。ご本人は「私は行かないわよ。一人でなんでもできるし、人と一緒に何時間も過ごすのなんて疲れるだけでいやよ。」と頑なに拒否していましたがなんとかデイに・・・。ところが次の週は「二度と行かない」と言って、お迎えのデイの車を返してしまいました。

デイサービスの利用にあたっては、ご本人の心身の機能低下を改善・予防することと、ご家族の介護負担の軽減という目的が考えられますが、このケースの場合、やっと子どもも独立した今、夫婦二人きりの生活をしたいという長男夫婦のたっての希望がありました。嫁さんはこの家に婚ぎ、以後かれこれ40年近く舅(4年前に死去)、姑の世話に明け暮れていました。狭い家で年がら年中顔を突き合わせていますから、気分の休まる時がなかったようです。早い話が「もう精神的にもたない、いい加減に解放してほしい」ということなのです。

ケアマネージャーはあくまでもご本人の意思を尊重し、その上で家族の介護負担について考慮するという立場にあります。このケースで言えば、ご家族の介護負担はあまりありませんし、家に閉じこもっているわけでもないM子さんですから、デイサービスの利用を勧める理由がみつかりません。強いて言えば「足腰が弱ってきているので、定期的にリハビリを兼ねて出かけましょうか」ということぐらい。でも、ご家族の気持ちも痛いほどわかります。M子さんが「週に一回ぐらいは夫婦二人きりで過ごせる日を作ってあげようかしら。足腰が弱っても大変だしね。」と思ってくれるのが一番なのですが、そんな思いは微塵もなさそうです。どこでどう折り合いをつければ、本人も家族も幸せになれるか、そのことについてゆっくり話し合っていかなければなりません。


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