お婆さんとお嫁さんの間の葛藤。相談はオウム返しで

お婆さんとお嫁さん

2011年05月31日(火)

ある施設で、人手が足りないからとデイサービスのお手伝いに借り出されていた時の話です。デイサービスを利用している高齢者の方を迎えに行くと、その方のお隣に住んでいたお婆さんが、いつも庭で洗濯ものを干しながらこちらの様子を窺っていました。すでに80歳は超えていたと思いますが、共働きの息子夫婦に代わり、掃除や洗濯を甲斐甲斐しくこなしているようでした。ある日のこと、利用者を自宅に送り届けてさあ帰ろうと思っていると、そのお婆さんが車のところにやってきました。

どうやら話を聞いてもらいたかったらしいのです。息子夫婦のこと、特にお嫁さんに対する不平不満は並大抵のものではありませんでした。「嫁は家事をしない娼婦みたいな女」、息子夫婦は「財産を狙っている」といったふうなのです。「この家を乗っ取られてたまるか」と・・・。こんな時はどちらの味方をしても話がこじれてしまいますから、「傾聴」に徹するしかありません。ひどいお嫁さんだと思っても、お嫁さんから話を聞いていませんから、お婆さんの話をそのまま受け止めるわけにはいきませんし、ちょっとでもお婆さんに同調すれば、もっともっと激しくお嫁さんを非難し始めることになります。「まさか、そんなはずがないじゃありませんか」と言うのはもっとだめ。今度は自分が否定されたと思い込み、相談者への怒りに変わってしまうことがあります。

こうした相談の受け答えとして一番良いのはオウム返しだと言われています。「娼婦みたい」と言ったら「娼婦みたいなんですね」、「財産を狙っている」と言われたら、「財産を狙っているんですね」といった具合です。話をするだけで気持ちが晴れていきますから、意見を述べる必要はないのです。お婆さんも話しているうちに気持ちが落ち着いてきたようでした。そのうち、お婆さんの姿が見えなくなり心配していたのですが、ほどなくして施設に入所されてしまったという風の便り。


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