一人っ子が親の介護をしなければならなくなった時

一人っ子と親の介護

厚生労働省が行った少子化に関する意識調査(2004年)によりますと、未婚の一人っ子の約半数が、将来の親の介護に不安を感じているのだそうです。特に男性にその傾向が強く、仕事と介護の両立への不安と経済的な不安が、介護不安と深くつながっているようです。結婚後に親の介護が生じる可能性があるケースでは、結婚そのものを躊躇してしまうことになるようです。結婚している一人っ子は、未婚の一人っ子より介護への不安は少ないものの、介護の問題が起きたときには自分だけで解決しなければならないことが不安材料になってしまっています。

中国にみる一人っ子と親の介護問題

厚生労働省の『国立社会保障・人口問題研究所』が1940年から定期的に行っている調査によりますと、一人っ子の割合は、1990年代頃から増加傾向にあるのだそうです。ただし日本では、一人っ子が増えたことによる親の介護問題が社会的に取り上げられるということは、いまのところありません。

ところが、一人っ子政策を推進させてきた中国では、近年親の介護問題が深刻化してきています。一人っ子の両親が、介護を必要とする年齢になるのは2013年ごろには、老年人口が80%以上になると推定されています。さらに2018年になるとその数がピークになるため、一人っ子たちは、否が応にも親の介護の問題と向き合わなければならなくなるのです。一人っ子政策による予期せぬ弊害である介護問題を回避するために中国では、経済的に困っている一人っ子家庭への援助や、看護・介護保険制度の確立、資金問題の解決策などの社会保障システムの整備に力を入れ始めているようです。


兄弟姉妹は頼りになるのか

一人っ子は、兄弟姉妹などと親の介護を分担することができませんし、困ったときの相談相手もいません。一人ですべてを背負わなければならないという重圧が、一人っ子の介護不安をさらに大きなものにしてしまうのです。でも、兄弟姉妹がいることで、かえって親の介護の問題が複雑になってしまうケースもありますから、一概に一人っ子の親の介護は大変だなどとも言えません。

兄弟姉妹がいるのに、一人だけに介護が押し付けられてしまっているという話はしばしば耳にします。また、介護のやり方などに対してこと細かに口をはさむのに、労力の提供もなく経済的な支援もしないという例もあります。介護は見てみぬ振りだったのに、親を福祉施設に入所させるとわかると、たちまち非難をしてくるなんていうこともあります。さらには親の介護に一切関わろうとしなかった兄弟姉妹が、遺産相続の権利だけは主張してくるという例も少なくありません。協力的な兄弟姉妹なら、そばにいてくれることでどれほど心強いかわかりませんが、そうではない場合、こうした無用な争いに神経をすり減らさなければならなくなることもあるのです。


一人っ子は一人ぼっち?

介護の悩みというのは、一人で悩んでいてもなかなか解決策を見つけることはできません。福祉関連の相談機関などを積極的に利用し、専門家の意見を聞きながらひとつひとつの問題に対処してゆくようにしましょう。介護に関する相談窓口は、住んでいる地域にある役所の福祉課や、社会福祉協議会などがあります。また、民間施設である特別養護老人ホームなどでも、介護支援を専門とする介護福祉士や社会福祉士が常駐していますから、相談にのってもらうことができます。

介護保険や福祉施設等をうまく利用することができれば、一人っ子であっても介護は十分にこなすことができます。一人っ子=一人ぼっちではありません。人間はいろいろな人たちに囲まれ、その中で生活しているということを忘れないでください。手をさしのべてくれる人たちはいっぱいいるのです。


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イラスト・わたなべふみ

ボテちゃんです。社会福祉士とホームヘルパー2級の資格を持っています。親の介護に悩む方のためのサイトを作りました。お役に立てれば幸いです。当サイトについてのご質問等は下記アドレス宛、メールをお願いします。

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